超高齢化時代での刺繍のすすめ

超高齢化時代での刺繍のすすめ

刺繍レッスンにあたって、介護予防との関わりについてご紹介します。
以下は高齢者支援に関わる飯野雄治さんにご協力いただき、まとめていただいた内容です。

はじめに

誰でも歳を取り、「高齢者」になります。今までできたことができなくなっていくだろうということは、容易に想像できるでしょう。とはいえ、その程度は人それぞれです。そして人は「自分は大丈夫」と思いがちです。そのため、なかなか年老いていくことの準備や備えが進まないこともあります。備えについて教えてくれる人はなかなかいません。
ここでは特に、認知症(診断の有無を問わないため、以後「認知機能が低下する」と表現することがあります)の予防を考えたとき、刺繍を楽しむことが役立つ可能性について紹介します。

介護予防の三本柱は「運動」「栄養」「人との交流」です

戦後に比べ食料事情がよくなるとともに、医療が進化したことがあり平均寿命は延びています。また、要介護状態になるまでの年齢である健康寿命は、そこまで延びていません。ということは、要介護状態で過ごす期間が長くなっているということになります。ですから、要介護状態になる前の健康寿命を延ばすことが大切です。なるべく要介護状態にならないような取り組みや工夫を介護予防と呼んだりします。
 年老いたときの衰えには、身体の衰えと脳の衰え(認知機能の低下)とに分けて考えることもできます。ただし、介護予防の取り組みは、両者を分けて考える必要もないようです。つまり身体の衰えを防ごうとすることは、脳の衰えにも役立ち、その逆も成立するというわけです。
 介護予防の三本柱は「運動」「栄養」「人との交流」だと言われています。運動が役立つことは、多くの人が理解しやすいでしょう。あらたにスポーツを始められたら、素敵なことです。教室に通うのもよいですし、費用をかけずに地域の体操グループに混ぜてもらうのもよいでしょう。特にメンバーを固定せず、早朝の公園や河川敷などでラジオ体操をやっているグループも多々あります。また、ひとりであってもウォーキングのような有酸素運動を取り入れることはイメージしやすいと思います。日々の買い物を活用した散歩はもちろん、屋内での家事の機会を活用した運動も有効です。掃除や洗濯もれっきとした運動というわけです。これらを丁寧に行うことで、運動と考えることもできます。また、スクワットなどのいわゆる筋トレも有効なことが分かっています。高齢であっても、体操や筋トレにより筋力が維持できるだけでなく、向上することが分かっています。ジムに通わなくても椅子につかまりながら、スクワットしたり、腹筋運動することも効果的です。

栄養が重要なこともイメージできると思いますが、高齢期には少しポイントが異なってきます。働き盛りの世代は、生活習慣病を予防するような栄養の取り方が重要ですが、高齢期になると脂やたんぱく質の摂取を意識する必要が生じます。これは年代により、健康を損なうリスクが異なるためです。高齢になると体力が落ちたり、人と会食する機会が減ることで食べられる量が減る方が多く、手軽に菓子パン等で済ます方が増えるため、栄養不足を心配する必要があります。このことで嚙んだり、飲み込んだりすることが衰え、さらに栄養不足に陥る方が多くなります。ですから定期的に歯医者に行き、必要ならば入れ歯を整えて噛んだり飲み込む機能を落とさないように気を付けることも重要です。日々の食卓にたんぱく質を加えることなどが推奨されています。肉や魚、卵だけでなく、乳製品や大豆などでもよいでしょう。嫌いなものや高額なものを食べる必要はありません。特に、運動を頑張り始めた人は、たんぱく質を取らないといけません。

 最後は、「人との交流」です。

運動や栄養は、場合によってはひとりでも取り組めることでした。ただし、これだけでなく、人との交流が必要だと言われています。家族以外にも人との交流があるとよいでしょう。人との交流は脳の衰えによいだろうということはイメージできると思います。人との交流が得意だった方も、老いることで遠ざかる方もいます。ですから、年老いても続けられるような交流が好ましいと言えます。今までの交流を続けるのもよいでしょうし、これを機に新たな交流に参加するのもよいでしょう。

これら三つを考えると、例えば地域の体操グループなどに参加して、交流しながら運動の習慣を取り入れ、栄養にも気を配ることで健康寿命を延ばせると言えます。たしかに高齢でも元気な方は、そんなイメージがあります。とはいえ、個々の性格やライフスタイルに合った健康習慣を身につければよいでしょう。健康のコツを「運動」「栄養」「人との交流」の三点に分けて考えることで、それを考えやすくなるのではないでしょうか。三点を同時に整えようとすると難しいかもしれません。まずは、どれか一つから始めるのがよいでしょう。刺繍をしたことがある方、刺繍に興味がある方は、ぜひやってみるとよいでしょう。手指を動かしながら、楽しいことに没頭することは、脳や心の健康によいことは言うまでもありません。刺繍を通じて、先生や他の生徒さんたちとの交流が生まれます。介護予防を意識するのであれば、そこから運動や栄養について、取り入れていけばよいのです。

教室レッスンの他に訪問レッスンもご用意しております。

詳細はこちらをクリックしてご覧ください。 



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