~幼少期に触れられなかった経験を、大人になって刺繍を通して少しずつ育てる話~
今日はちょっと、自分が感じていることをゆるく書いてみようと思います。
子どもの頃のことや、大人になってから気づいたことをまじえながら
読んでくれる人に「そういうこともあるよね」と思ってもらえたら嬉しいです(^^)
私と長くお付き合いをしてくださっている方はご存知の通り、
私はいろんなことをびっくりするほど知らなかったりします(笑)
「文化資本」という言葉を聞いたことがありますか?
少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、要するに 生まれ育った環境で自然と身につく経験や知識のことです。
ほとんどの人は、家庭や周りの環境で自然にそうした経験を得て育っています。
でも、私のようにそういう機会が少なかった場合、
大人になってから「知らないことの差」を感じることがあります。
私自身は、今となってはそのあたりの気持ちも通り過ぎて落ち着いています。
ただ、現在進行形で悩んでいる人もいると思うので、
少しでも参考になればと思い、この話を書いています。
文化資本ってなに?
少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、要するに 生まれ育った環境で自然と身につく経験や知識のことです。
この考え方を提唱したのは、フランスの社会学者 ピエール・ブルデュー。
環境から身につく経験や知識の差が、その後の生きやすさに影響することを言葉にしました。
ブルデューは文化資本を、大きく三つに分けています。
- 内面化された文化資本:態度や考え方、話し方、価値観など、自然に身についたもの
- 具象的文化資本:本や絵画、楽器など、具体的な知識や技能
- 制度化された文化資本:学歴や資格など、社会的に公式に認められるもの
たとえば…
- 小さい頃から本が家にあった(具象的)
- 美術館に行ったことがある(内面化・具象的)
- 家族で旅行に行く習慣があった(内面化)
- 大人がゆっくり話を聞いてくれた(内面化)
- 習いごとに通えた(制度化・具象的)
こうした何気ない積み重ねが、後の人生で“当たり前”のように役立っていきます。
逆に、そうした経験がほとんどないまま大人になると、
人と話しているだけで「みんなが知っていることを私は知らないんだな…」と感じることがあります。
私自身、幼少期はとても忙しく過酷な家庭環境で育ちました。
ただ生きることで精一杯だった日々です。
大人になってふと周りとの知識のギャップに気づいたとき、なんとも言えない“距離”を感じたことがあります。
今はネットで何でも学べる時代ですが、
「体験として知っていること」と「あとで調べて知ること」はやっぱり少し違いますよね。
その違いを積み重ねて考えると、文化資本という考え方がとても腑に落ちます。
刺繍との出会いと、自分で文化資本をつくる時間
そんな私でも、人生のあるタイミングで刺繍と出会いました。
時間を忘れるほど夢中になれるものがあること、
刺繍の本を少しずつ集めながら学んでいけること、
それらは私にとって大きな喜びであり救いであり、
まさに「文化的な栄養」でした。
刺繍をしていると、
子どもの頃に知らずに通り過ぎてしまった“文化的な入り口”に、
大人になってから優しく触れ直しているような感覚があります。
刺繍の技術を学ぶことは、具象的文化資本を増やす体験ですが、
楽しむ時間を持つこと自体も内面化された文化資本を育むことにつながります。
私が「気軽に足を運びやすい刺繍教室」をつくりたかった理由
刺繍教室って、どこか“敷居が高い”ように感じませんか?
手芸屋さんの前で立ち止まるだけでも勇気がいる…そんな人も多いと思います。
だから私は、できる限り 気軽に足を運びやすい教室 にしたいと思っています。
かつての自分のように、「文化的な経験に触れる入り口」が少なかった人にも、
安心して来てもらえる場所があったらいいなと感じたからです。
刺繍は難しい技術から始めなくても大丈夫です。
ただ針と糸があれば、静かに、やさしく、自分のペースで楽しめる世界です。
その最初の一歩を、少しだけ軽くしておきたい。
そんな思いで、教室を開いています。
経済的に参加が難しい方へ
通常の料金で参加してくださる方への感謝を大切にしつつ、
経済的に本当に困っている方には、無理のない範囲で対応できるようにしています。
もちろん、料金を支払ってくださる方への価値を大切にしながらの対応ですので、
みなさんが楽しめる環境を守る形になっています。
おわりに
文化資本は、「誰が悪いわけでもない、環境から生まれる違い」をそっと説明してくれる概念です。
そして、大人になってからでも、
刺繍のように心を使う時間を通して、
自分なりの文化資本をゆっくり育てていくことはできます。
もし同じように孤独や経験の少なさを感じてきた誰かが、この記事や教室を見つけて少しでも安心できたら、それだけで嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございます♡




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